●9月1日 錆のある革ジャン

　高校時代にバイクに乗り始めたとき、装備のひとつとして買った革ジャン。黒い革ジャンに黒いヘルメット、黒いブーツと全身黒づくめのかっこうで走っていたから、仲間からはよく「カラス」と嗤われた。

　仲間の入れ知恵で、袖口をライターであぶり、革の真贋を慎重に確かめてから買った。が、革の品質にやたら神経質になったわりには、かんじんのサイズのチェックがいいかげんだったから、ちょっと小さすぎて着づらい。
　両袖はファスナーで簡単に脱着できる。裾は大型バックルで締めて着る。あちこちにじゃらじゃら盛大にくっついた金具類だが、20年を経た今ではすっかり錆びつき、全体になんとなく茶色っぽくなってしまった。

　たしか４万5000円くらいで買った。僕がこの生涯で買ったなかで、もっとも高価な衣類である。