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若い店主が開業したばかりのバイク屋。やたら熱心に営業している。
熱心のあまり、定休日も休まず営業時間もかまわず、店主がひとり油まみれになって、いつも店頭に煌々と電灯をつけ、ときには深夜にいたるまでもくもくと働き続けている。
何度かバイクの修理を依頼したことがあるが、修理技術はそれほどパッとしたもんじゃなかったし、商売もうまくはなさそうだった。店頭にならぶ中古車も、ほとんどが50ccの安っぽい原チャリばかり。けっして立派な店がまえでもない。
しかし、この店のやみくもに熱心な仕事ぶりには「バイクが好きだから、なにがなんでもバイクで飯を食う」という潔い心意気が横溢している。バイク屋は、これくらいバイク熱心でなくちゃ通いがいがない。
だから僕は、どんな小さな部品を買うときも、たとえ時間と足代をかけてでも、なるべくこの店で買い物をする。
だがその反面、経験的にいって、こういうまじめなバイク屋ほどすぐつぶれるものだ。ごうつく張りのつまらない店ほど繁盛する。この店がその経験則の例外になってくれることを祈りたい。
ちなみに屋号は「バイク屋」。ネーミングのセンスからいっても例外になるのは至難のわざという気がするが、そこをなんとか無理してでも応援したい店である。
