2月16日
屋根の上の異邦人

 「エイリアン」は70年代のSF映画で知られるようになった英語だ。異邦人、よそ者、宇宙人などをさす。「未知の文化や感覚をもつ他者」といった意味だろう。
 最近よくテレビで流れている缶コーヒーのCMにもエイリアンが出てくるし、キリンジというバンドの楽曲にも、世俗を遊離した恋をうたった『エイリアンズ』がある。

 人は自分の感覚を世界に普遍のものだと考えがちだ。しかし、当たり前とか永遠とか思っているものにも、たしかなものはそう多くない。エイリアンたちは僕らに、常識のもつそんな盲点を教えてくれる。
 とはいえリアルな宇宙人に話を聞くチャンスはめったにない。だから人は、この世界を知ろうと本を読み、誰かに会い、狭苦しく凝り固まった心の内にひそやかなエイリアンを育てようと努めるのかもしれない。