●1月18日
消臭犬
一般に犬というのはけっこうくさい生き物だ。だから「消臭犬」などというと、におわないタイプの新しい犬種が発売になったのかと思う人があるかもしれないが、もちろんそうではない。これは犬のヌイグルミ型消臭剤だ。
パッケージには、「ヒノキのフィトンチッドの効果で消臭脱臭、抗菌防虫、気分をリフレッシュ。効き目は約６カ月間」と能書きがある。フィトンチッドというのは、樹木にふくまれる芳香性物質だそうだ。
ようするに綿の代わりに木屑を詰め込んで作ったヌイグルミだ。箱から出して嗅いでみたら、かすかにカンナ屑のにおいがした。
近所のドラッグストアで安売りされていたのを980円で買ってきたが、箱をあけて２週間もしないうちに、すっかり木のにおいが抜け、消臭犬はただの不細工なヌイグルミと化してしまった。においのするうちこそ、誰彼なしにくんくん嗅がれて楽しまれていたが、今では誰ひとり顧みる者もなく、死骸のように部屋の隅に打ち捨てられている。
東京企画販売製。商品名は「檜丸くん」と書いて「ひのまるくん」と読ませる。一億火の玉特攻精神で、においの元に玉砕覚悟のワンウェイ・アタックを試みる勇猛果敢な日本犬……という意味だろうか。戦功のほどは不明だが、とりあえず早晩玉砕することだけは確実な、決死のカミカゼ企画商品である。
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